身旺と身弱の判断(2)

今回は少し判断が難しい微妙な例を挙げてみましょう。

(1)月令を得ているのに身弱

月令を得ている命式は、基本的には身旺と判断すべきと書きましたが例外が存在します。
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上の命式は、丙日で午月に生まれていて「月令を得て」いるし、時干には丙火の比劫までありますから「身旺」だと早とちりしがちな命式です。

しかし、月支の午以外には通根できる支はなく、午の両側には子水と亥水があって水剋火(午と子は七沖)で攻められています。(子申で水局し、子亥で方合して水勢が強い)

午火は大きく減力して痛んでおり、
日干にとって安定した根とは言えない部分が出てくるのです。

喩えるならば、立派な巨木が立っているように見えても、地中深くに害虫の巣があって、見えないところで木の根が全部かじられて腐ってしまっているようなものです。何事もなければ平時は、見た目だけは立派な巨木(身旺)のように見えるわけですが、ちょっとでも強風が吹けば、すぐ根が抜けて派手に倒れてしまうような姿です。

このように、根となる地支が隣接する支からの剋・沖を受けて痛んでしまっていることを「抜根」と言います。

この命式は、天干に丙火の比劫があり、いちおうは月令を得ているので、自信家で行動力があるパワフルな身旺のように一見みえるのですが「見掛け倒し」で、困難にぶつかるとすぐに投げ出して諦めてしまい諸事完遂することができにくく意思薄弱に転じる傾向がある「身旺の身弱」と判断します。

このように、月令を得ていても他の2~3支によって月支が剋・沖を受けていたり、

年日時の3支で方局団結して他の五行の勢いが強すぎる場合は、必ずしも身旺にならない場合があります。

(2)単純な身旺とは異なる「印多の命式」

身旺とは、日干が「月令」を得ているか
月令を得ていない場合は、(月支以外の)最低2つ以上の地支に通根している命式であると考えてよいのですが

日干が通根していないのに「身弱」とも言いいがたい命式があります。
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印星が旺じる月に生まれ、印星が多すぎる命式は、いちおうは身旺の範疇に入るのですが、日干が通根しているタイプの典型的な身旺とは性質が違います。

また、男性と女性とで事象に大きな違いが出ます。女性はキャリア志向の働き者(専門職の職業婦人)になります。
このような印が旺じる命式を「印に埋もれる命式」と言ったりもします。

女性の場合は勤勉になるのですが、男性の場合には「人格劣化」が著しく、日干自身が通根していないため、主体性や決断力に乏しく、優柔不断になりやすく、他人ばかりをあてにしやすい依頼心が強いズボラな人間性になります。甘やかされて育ったマザコン傾向があったり、引き篭もり/ニート/オタクになりやすいのがこの印多の命式です。

(3)大運によって旺衰が変化しやすい命式

身旺・身弱を定めにくい命式もあります。
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この命式は、巳月に生まれて月令を得ていますし、
天干に日干を減力させる財星(庚辛)官殺(壬癸)もありません。

「身旺」であると断言したくなる命式ですが、よくよく見ると、

巳以外の地支は酉・申・丑であり、局や方合によって金を強める潜在的配合になっており、しかも、月支の巳自身が「酉丑巳の金局」に関わる支です。
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月支(季節は夏)巳で、その旺気は「火」であるので、原命式だけでは「巳」はもっぱら火としてのみ作用して、金局には組みしていません。

しかし、後天運(大運)酉申・庚辛の運気に入れば(季節が秋に転じれば)、月支の巳は火としての作用が弱まり、酉巳丑の金局に加担するように寝返ってしまう可能性を孕んでいます。

そうなれば、日干は支えとしての根を失って、一気に身弱(財星大過)に転落してしまいます。

このような構造を持っている命式は、元命式だけを見て身旺・身弱を決めるのではなく大運の流れを良く見て、どこで「身弱」に反転するかをよく精査しなくてはなりません。

後天運によって日干の強弱(旺衰)が激しく変化するこのような命式は、日干の強弱に伴って用神を決め直す(必要な用神が途中で変わる)場合が多いのです。

(1)や(2)で挙げた命式は、大運の推移の中で(3)の命式のように「日干の強弱」が急転するようなことはなく、(1)ならば身弱、(2)ならば印多身旺、の傾向性はずっと生涯変わりません。ゆえに、命式を整えるために必要な用神もずっと一貫しています。

実は、原命式が均整の取れた「身中」に近ければ近いほど(3)の命式のように後天運の推移に伴って日干の強弱がめまぐるしく変化しやすくなり、用神が一貫しにくくなる傾向があります。

その意味では、必ずしも原命式において完璧な「身中」である必要性はないということです。

「身弱」であれ「身旺」であれ、その人にとって必要な用神(努力)の方向性がはっきりしているほうが開運もしやすく、1つの道をひたすらに追求していけばよいわけですから、ある意味ではあれこれ迷わずに済む、とも言えるのです。

大運の推移でちょうど25~55才ぐらいに用神・喜神の後押しがやって来て「身中」に近づくような命式が一番開運しやすいタイプと言えるのかもしれません。

つまり、原命式そのものは「欠けているパズル」でも構わないのです。

欠けているピースは「用神の五行」ですが、それを本人の自覚的努力や後天運の後押しによって、後天的に「埋め合わせる」ことができれば、実質的には「身中」の姿に近づくことができるのです。

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by astro_suimei | 2018-02-26 23:04 | 旺衰論 | Comments(0)

身旺と身弱の判断(1)

身旺/身中/身弱の判定はプロ鑑定士であってもなかなか難しいところがあります。

明らかに判別できる分かりやすい命式ばかりではなく、判断の難しい微妙な命式や、時柱によっては判断が変わってくる可能性が高い命式もあります。

ここでは、ある程度分かりやすいサンプルで考えてみましょう。

(1)明らかに身弱の命式

【条件】
・月令を得ていない
・地支のどこにも通根がない(日干無根)
・日干を助ける印星が少ない
・日干を強める陽干の比劫もない

丙火の命式を例に考えてみましょう。

月令を得る巳午未の月でなく、また、印星が旺じる寅卯の月でもなく、

財星の金が旺じる申酉の秋生まれ、官殺の水が旺じる亥子丑の冬生まれである場合です。

さらに、日干が通根して強くなる巳午未の火性支が皆無である。
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上の命式は、官殺の水が旺じる子月に生まれ、地支のどこにも巳午未の根がなく、隣に丁火があっても陰干で弱すぎて助けにはならず、日干は身弱の極みと言えます。(丁火があるため従殺格は成立しません)

このような命式は非常に分かりやすい身弱の典型例です。
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それでは、上の命式はどうでしょうか?

雑気(五行の方向性がはっきりしない)の辰月に生まれており、巳午未の地支がなく日干無根です。

丙火の比劫も天干にありません。この時点で、身弱の命式であると判断して問題ないでしょう。

詳しく見ると、子・申・辰という三合水局の組合せがあります。あくまで月支が「辰」なので、そのままでは水局成立とはなりません。

もし月支が「亥・子・丑」であればそのまま水局成立します。あるいは大運で亥子丑の水旺運に入れば一挙に水局となります。

このように地支を見ると、潜在的に水勢が強くなりやすい構造を持っており、庚金と申金に囲まれて丙火は減力していることが分かります。

ただし、卯木に通根した甲木があり、印星にもある程度の力量があるので「極弱」というほどの「身弱」ではありませんが、全体として「身弱傾向」には変わりありません。

このように、身弱の判断基準としては「日干の通根」があるか無いかが大きなポイントになります。

日干が地支のどこにも根を持っていないのであれば、その命式はかなりの高確率で身弱だと思ってよいでしょう。

ちなみに、月令を得ていない命式においては、

日干と同じ五行(通根できる)の地支2つあれば「身中」に近くなり、

根となる同気の地支が1つしかなければ「身中寄りの身弱」といちおう仮定できるでしょう。


(2)明らかに身旺の命式

【条件】
・月令を得ている
・月令を得て、かつ、月支以外の地支にも通根している
・月令を得ていない場合は、3つ以上の地支に通根している
・陽干の比劫や印星が多すぎる
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上の命式は、午月ですから月令を得ています(月支に通根します)よって、その時点で身旺の傾向であるという当たりが付けられます。

さらに、午だけでなく午寅戌で三合火局が成立しており旺火の極みであり、さらに月干に丙火の比劫まであります。

よって、何の疑いもなく身旺、それもかなり身旺の程度が強い(極旺に近い)命式であると判断できます。

生まれ月に関わらず、地支に3つ以上の通根できる支があれば、基本的には身旺の命式と考えてよいでしょう。

丙日だと午巳申未、午午亥午、巳巳辰未のような形で地支に並んでいるようであれば、たとえ天干に庚・壬が多くても身旺の命式とみます。

月令を得ている場合には、月支以外に同じ五行の支が1つでもあれば、基本的には身旺の命式と見てもよいでしょう。

原命式において、地支は天干の力量を図る役割を担っており、地支の方が最終的な決定権を持っています。

よって、天干に同じ五行の星が並ぶのと、地支に同じ五行の星が並ぶのとでは、圧倒的に地支に並ぶ方が有力になるのです。

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by astro_suimei | 2018-02-26 21:46 | 旺衰論 | Comments(0)

身旺・身中・身弱について-旺衰論

生年月日(+時刻)から命式を立てた後に、最初に判断するべきことは「日干の強弱」(旺衰)です。

強弱(旺衰)とは、日干自身にどれぐらいの力量(パワー)があるのかどうか?強いのか、弱いのかを判断することです。

ちなみに、強いから吉、弱いから凶、というほど単純ではありません。
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身旺には身旺の問題点や落とし穴があり、身弱には身弱の問題点と落とし穴がそれぞれあって、不幸に傾いていく原因幸福になるための方向性が全く異なるだけです。

「身旺」は派手な色で塗りたくられた大胆すぎる油絵、「身弱」は淡いトーンで描かれた繊細な水彩画、のような違いがあり、どちらも「美しくなりうる」のですが、およそその趣向がまったく異なるのです。

大きく分けると、身旺、身中、身弱の3つに分類できます。

四柱推命の鑑定で、命式を立てて一番最初に行うのがこの強弱診断です。


日干強弱の判断を誤ると、それ以降のすべての診断(悪神論、用神論)がことごとく誤りとなってしまうので注意を要します。

<身旺> 日干の五行が命式内に多いか、日干を生じる五行が多く、日干が強くなっている状態です。

⇒ 自信家になりやすく自己中心的な言動に走りやすくなります。自分の考えや意見を強く主張して、他人に対する配慮が乏しくなりがち。世界が自分中心に都合よく回っているかのような錯覚を持ちやすい。気力に溢れるため積極性や行動力があり、自分から事を起して、周囲の人間を巻き込んでいくパワフルさを持っています。弊害として、人と争いを起しやすく、ワンマンすぎて孤立したり、空回りばかりして評価されにくかったり、粗暴になり周囲を破壊したりします

身旺の命式は「真正の身旺」と「印星」によって他動的に強められているだけの「エセの身旺」に2分類できます。

月令を得ていたり、日干と同じ五行の支(通根)が2つ以上存在しているものが「真正なる身旺」の命式です。

印星が旺じる月に生まれ、日干が通根を得ていないものは、印大過の「エセの身旺」にすぎません。


<身弱> 日干の五行生じてくれる五行が少なく、漏出の五行が多く、日干が虚弱になっている状態です。

⇒ 気力や積極性に乏しく、物事をやり遂げる気概や実行力に乏しく、消極的・悲観的に後ろへ後ろへ下がっていく傾向です。悪い環境下に置かれても、その状況を打開しようとするだけの気概に乏しいため、周囲の人や環境に一方的に翻弄されるばかりになりやすい。本人自身も「何がやりたい、こうありたい」といった人生上の目標設定や目的意識と主体性に乏しく、努力の方向性すらも定まらない人が大半です。身旺のように他人を積極的に加害することは少ない(当たりの柔らかい人が多い)が、薬にもならず(役にも立たず)毒にもならずといったクラゲのような存在になりがち

実際には、命式内に漏出する「食傷」、剋す「財星」、剋される「官星」(官殺)のいずれが多いのかによって、思考回路、行動原理、キャラクターの出方に大きなバリエーションがあります。

<身中> 日干を強めるもの、弱めるもののバランスが均衡していて、特に強くも弱くもない状態です。

⇒ 人間的にバランスが取れていて偏りが少なく、常識的な判断力・行動力を備えている人格者が多い一方で、際立った能力や個性に乏しく意外と平凡な人も多い。命式があまりにもバランスが取れていると、必ず後天運では力量バランスが崩れてしまうので、後天運が良くない場合も少なくありません。改善開運のための用神が定まりにくく鑑定しにくいケースが多いのもこの身中だったりします。

実際には、身旺・身弱にもさらにランク分けができます。

極身旺と呼ぶべき人から、身中に近いやや身旺寄りの人までグラデーションがあります。

身弱の中にも、日干無根の極身弱の人から、日干が通根していて身中に近い身弱までグラデーションがあります。

高度な判断を要する命式として、一見すると身旺に見えるのだが実際には弱さを隠している「身旺の身弱」という事例もあります。

日干の強弱・旺衰が判定されると、
その命式のバランスを傾けている元凶(=忌神・悪神)が何なのか?
何を補ってやればバランスを均衡に戻すことができるのか?という診断に入っていけます。

それが「悪神論・用神論」です。

実際の命式を例に挙げて説明してみましょう。
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この人は、日干が丙火の太陽で、冬の子月に生まれています。この人は身旺でしょうか?身弱でしょうか?

四柱には、上下4つずつ、合計8つの文字が並んでいますが、その力量と働きは均等ではありません。1つだけ他の7つの干支より段違いに力量が大きなものが存在しています。それは月柱地支=「月支」です。

月支は、季節を示している支であり、その季節の五行が旺じていることを示す基準となる存在です。命式全体においてどの五行が最も強いか、どの五行が最も弱くなっているかの判定を与える役割を担う特別な支なのです。

なので、四柱推命の漢文古典「滴天髄」「子平真評」などでは「月支は提綱の府である」(命式全体の五行力量を推し量る「秤」である)と記されています。

というわけで、月支は他の支(年支・日支・時支)よりも4倍近い力量を持つと考えるべきで、他の3支を集めたよりも強力だと理解するべきです。

例えば、上の命式で五行の力量を数量換算してみるとしましょう。(実際の鑑定では毎回こんな数量計算をするわけではありません)
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という風に単純化するならば、

単純にカウントしただけでは、木2、火2、水2、金1、土1になります。木火4=金水土4 で対して偏りはありません。

しかし、月支の力量を重く見なければならない月支に後押しされる五行は強くなる。月支に剋を受ける五行は最弱になる。といった原則を読み込んでいったならば、

実際には、木2、火1.5、水5~6、金1、土0.5ぐらいになり、木火3.5< 金水土7.5 で明らかな「身弱」と判断できるのです。

というわけで、月支だけが他の支よりも格段に力量が大きい、ということが命式の力量バランスを大きく傾ける最たる要因となります。

言い換えれば、月支の五行こそが命式を傾ける「忌神・悪神」となるのです。(たまに例外的な命式はありますが)

上の命式においては、子月の旺気である「水」が忌神・悪神となって命式を傾ける原因となっています。

ということは、たいていは、日干 と 月支 の関係性が分かれば、何が悪神になりやすく、何が用神になりやすいか、おおよその推測ができます。

出生時刻が分からなかったとしても、年月日の3柱だけで「力量関係の大枠」が決定している部分が大きく、3柱だけでも「全体像」を類推することはさほど難しくありません。それだけ「月支」の影響力が大きいということです。

上の例では、日干が丙火であるのに対して、月支は子水ですから、水が旺じて火は剋されて弱くなることが予想できます。


四柱推命ランキング
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by astro_suimei | 2017-10-21 23:32 | 旺衰論 | Comments(0)