ちまたの四柱推命はどこがおかしいのか

日本で流通している占いのうち、四柱推命ほど「間違った理論」が普及している占いも珍しいです。

(なので、ちまたの占い師たちに「四柱推命」で占ってもらうことは私自身はまったくお勧めいたしません。タロット、手相、西洋占星術などで見てもらうほうが「誤占の危険」が無くまだマシです。)

この元凶を辿れば、阿部泰山という人に行き着くのですが、この人が昭和初期に「月支元命星を用神とする」という例の勘違い理論を提唱してから、一気にそれが広がってしまったことが、その後の推命学の混乱の大元になっています。

いま日本で広まっている四柱推命を眺めると、大別しておよそ「3つのカテゴリー」に分類できるでしょうか。それぞれの理論の違いについて概観してみましょう。

(1)「元命星」「通変星」のおみくじ的な四柱推命

いちいち説明しなくても、本屋の占い書コーナーに行けば、この手の本が掃いて捨てるほどゴロゴロ転がっているので「言わずもがな」ですね。

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「月支元命星」が命式の50%以上を支配するとして、この元命星を「性格」「運勢」を測る基準とするようです。あとは、10個の「通変星」をあーだこーだと言うわけですが

正官、正財、印綬、食神の4吉星を喜び、劫財、傷官、偏印(倒食)をとにかく大凶星として嫌います。
(比肩、偏財、偏官は吉凶混合とする)

後は、通変星の上下左右の並びを捉えて、あーだこーだと解釈するわけです。

「通変星占い」がこの手の四柱推命の基本となる理論です。そして、後天運についても、巡ってくる「通変星」が吉星か凶星か、月支元命星との作用はどうか?ということで吉凶判断しようとします。

さらに「十二運」「神殺」「空亡(天沖殺)」も合わせて、あーだこーだと「おみくじ的な吉凶診断」を繰り広げていくわけですね。世の中に流通している四柱推命本の70%以上はこの手のモノです。

私自身も最初はこの手の四柱推命からスタートしましたが、理論の矛盾、実占での使えなさ、実際の事象とまったく合致していない点などに疑問を感じるようになり、すぐにこの手の四柱推命からは卒業となりました。

ちなみに、この理論に従って「ある特定の生年月日」を占うとどのような鑑定となるのでしょうか?
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↑のように、1997年9月9日 16時生まれ 女命 きのえはなこ さん を
ネット上に溢れる「この類の四柱推命」で占ってみましょう。
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月支元命星が「正官」ですから、真面目でよい夫に恵まれて素晴らしい運勢です、とでも言うのでしょうか?

あるいは、月柱に「正財ー正官」の組み合わせがあって「財官双全」であり、お金と出世の両方に恵まれます、などと言うのでしょうね。あとは、十二運や神殺を取り上げて云々するのでしょう。

ちなみに、この命式の干支の並びは

壬甲己丁
申寅酉丑 となりますが

この手の「元命星占い」「通変星占い」の四柱推命は、通変星が「運命の実体」であるかのように錯覚していて、十干や十二支そのものは判断材料にはしていません。

だからこそ、私はこの類のものを正式な「四柱推命」とは呼ばずに「通変星・元命星占い」と区別して呼んでいるのです。


(2)「五行の均衡」「強弱バランス論」を主体とする四柱推命

次なる段階の四柱推命は、元命星や通変星の「おみくじ的四柱推命」を捨て去って、本来あるべき「干支術」「五行理論」としての四柱推命に立ち帰ろうという意識で模索されているものです。

ここ十年ほどで「この手の四柱推命」もかなり増えてきたように感じます。

さすがに「元命星・通変星占い」ではまともな鑑定ができない、ということが分かり始めてきたのでしょう。

いま世間の本屋さんで流通している四柱推命本の30%ぐらいがこの類のものです。
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上の書籍などがその代表格ですが、

通変星にもともと吉凶を固定するのではなく、日干の強弱によって必要な星を捉え直していこう、という五行バランス論(=扶抑均衡論)を中心としています。

命式全体を分析して、日干の強弱を判断した後に、

身旺ならば日干を弱める星」を吉とし、「身弱ならば日干を強める星」を吉とする、というシンプルな扶抑理論で判断していくのが特徴です。

日干の強弱を判定するために、五行を数値化して計算したりしますが、その方法は流派や個人によってけっこうバラバラです。

命式のバランスを取ると言っても、バランス論の判断が流派や個人によっても様々です。(ごく単純に命式に足りない五行が揃うことが無条件に良いと判断するような流派もあるようです)

壬甲己丁
申寅酉丑 

↑の命式ならば、木2、火1、土2、金4、水1などと数値化・計算をして

水木=3 : 火土金=7 で「身弱」であるので

日干の「甲木」を強めるために、水の印星木の比劫が用神となります、といった判断をするのでしょう。

この手の四柱推命は、さっきの「通変星・元命星占い」に比べたらずいぶんとマシな鑑定理論だと思います。

「元命星占い」の鑑定精度が10~20%程度だとすれば、この段階の理論だと50%強ぐらいの鑑定精度まで上がるのではないかと思います。

しかし、この段階の四柱推命では「五行のバランス」は見ていても

十干それぞれの性質の違い地支の微妙な力量変化を微細に読み取ることができないため、鑑定技術としてはまだまだ正確さが足りません。

辛金にとっての戊土の印星と、丁火にとっての甲木の印星が、同じ印星であるのに、どのように作用の違いが生じるのか?

甲木にとっての丙火の食傷と、丙火にとっての戊土の食傷が、同じ食傷であるのに、どのような作用の違いが出るのか?

己土にとっての壬水の財星と、丁火にとっての庚金の財星が、同じ財星であるのに、どうして事象吉凶の違いが発生するのか?

といったことが説明できません。

なぜなら、「五行のバランス」は大雑把に見ていても、十干それぞれの固有の性質や、十干相互の関係作用については、働きの違いを説明する詳細な理論を持っていないからです。

さらに、春夏秋冬のどの季節に属するのかによっても、十干相互の作用は大きく変わってきます。

甲-丙の関係を例にとると、冬月には吉作用となりやすくても、夏月には凶作用に転じやすいわけですが、この段階の単純な「五行バランス論」では、四季月ごとの十干の作用の微妙な違いまでは考慮に入れていません。

ゆえに、鑑定理論としては粗く正確さが欠けており、通変星・元命星占いよりはずっとマシではあるのですが、まだまだ誤占の可能性も50%ぐらいは孕んでいると思います。

己丙戊丙
丑午午申

例えば、上のような命式について、この段階の四柱推命理論だと

日干が「身旺」なので、漏らす星である「戊己の食傷」は吉作用ですと判断(誤占)してしまいます。

しかし、実際には、丙火にとって土の食傷は「晦火の作用」であり凶作用としてしか機能しません。


(3)「十干の性質」と「力量論」に基づく推命学

壬甲己丁
申寅酉丑 

甲日酉月生まれであり、地支は酉申丑西方合・金局半会して「金の官殺大過」です。

日支が寅で通根しているように見えても、申酉で両剋を受けて抜根してしまっており、日干は身弱です。

月干の己土は干合して、日干をさらに弱め、判断力を鈍らせてしまっています。

このような「断木・倒木」型の命式では、庚金の官殺から身を守るために「癸水の印星」を第1の用神とし、水星が十分にあれば次に「寅卯への通根」を求めます。

この命式は、丑や申があり、かつ壬水があるので、大運でもし「壬子」などが巡れば、水星大過(北方合/水局)して氾濫して「流木現象」を起こしかねない可能性もあるため、大運の推移を見ながら慎重に用神を星を定める必要があります。

庚辛壬癸甲乙丙
戌亥子丑寅卯辰

大運は上のような巡りになり、案の定「壬子」が来てしまい流木になりやすい巡りですから、「寅卯への通根」を第一に考えなくてはならず、丙火は喜神となります。甲寅の大運に入るまではこれ以上の水星は要りません。

大運の早い段階で「庚辛の官殺」が天干に巡っていますから、庚戌の大運が10代だったとすれば、ややこしい男性関係が次々と発生して、家出少女になっていた可能性すらあります。

官殺(子供にとっては学校や受験の星)が忌神となって巡ったことで、おそらく高等教育まで正規に終了せずドロップアウトした可能性があります。

身弱で官殺大過する命式ですから、女命「きのえはなこ」さんは、男性との縁は多いのですが、粗暴な男性ばかりを選び取って苦労しやすく湿土が金を生じる命式(財星が官殺を産む)ですから、男性にお金を貢いでしまいやすい人です。

この方が幸せな結婚をする(=自身が安定して、よい相手と出会い選べるようになる)ためには、まずこの人自身がきちんと自立して手に職を付けることから始めるべきで、「寅卯の通根」を意識して(木=医療・教育・福祉などの)専門技術や知識資格を取ること努力から始めるようにお勧めします。

このようにして(3)の段階の四柱推命は、十干の相互性質、力量の変化についての理解が(2)の四柱推命よりも遥かに精緻詳細になっています。

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このように見ると、(1)と(3)の四柱推命では、その鑑定結果が180度違っていることがお分かりになるでしょうか。正官格で正財があるから「お金にも夫にも恵まれます」という鑑定は誤占の極みです。

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by astro_suimei | 2018-11-08 21:49 | 雑記 | Comments(4)

Commented at 2018-11-09 16:20
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2018-11-09 17:44 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by astro_suimei at 2018-11-10 00:15
この命式ではいかなる特殊格も成立しません。あと申月で庚金があるのですから明らかな官殺大過型です。(同時に財星も悪神になりますが)

災難から身を守るための癸水の印星(思慮の星)が用神です。
普通の会社のサラリーマンだと大変でしょう。技術知識を磨いて専門職として自立する方向がよいのではないでしょうか
Commented by ponta at 2018-11-10 23:03 x
戊乙庚癸
寅卯申未

ご返信いただきまして大変ありがとうございます。
とても嬉しいです。
重ねて質問したいのですが、
壬、甲、乙、寅、卯、辰は用神、喜神にはならないですか。?
本人はIT関係(ゲームプランナー)の仕事をしたいと言っておりますが、庚申が悪殺では、向いてないとおもいます。
あえて言えば、どの分野ならおすすめでしょうか。