原命式の「傾き」を知る(=悪神論)

四柱推命の命式鑑定において、最も大切なこと(本質的要素)は何か?というと

その命式の「傾き」「癖」「悪質」を正確に掴むことではないかと思います。


上の「用神論」の記事でも書いているように、運命とは「本人とは無関係なところで、外から飛んできた玉に当たるか当たらないか」(=ツイている/ツイてない)といった偶因論/外因論ではありません。

「運ぶ」という文字があるように、自分自身が原因となり、自分の内にある考え方、価値観、願望、情動、生き方、言動の癖、が発動することで「特定の方向性」が形作られていくのです。

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「とにかくお金が欲しい」「楽して稼ぎたい」「手間の掛かる苦労はしないで快楽だけ求めたい」「先のことを考えて計画するなんて面倒。今さえ楽しければいい」という価値観、思考回路、願望欲求、を中心にして生きているならば、そのような方向性で、その人の人生は形作られていくでしょう。

「世界は自分を中心に回っている」「我が一番尊い」「他人は自分の利益に奉仕する下僕である」「自分の都合で他人を利用して何が悪いのだ」「弱者は強者に支配され搾取されてもしかたがない」という価値観、考え方を中心にして生きている人は、そのような思考回路に応じた人生現象が展開していくことになるでしょう。

それぞれの人は、人生を主導して、特定の方向性に運んでいこうとする「傾き」「思考や願望における癖」を無意識のうちに持っています。これが「運命の正体」「運命の原因となる種子」です。

原命式の「月支」を中心とするところの「悪神」や「大過する星」が、こうした歪んだ思考、偏った価値観、行き過ぎた欲心、を産み出しているのです。

言い換えれば、「月支」の働き「地支に大過する星」をよくよく解析すれば、その人が本音において、どうしたいと思っているのか、何を好んで追求したいと思っているのか(嗜好=思考回路)が分かる、ということです。

そして、この生まれ持った「歪み」「傾き」「悪癖」に引っ張られて、その通りに考え、思い、欲求し、言動していくことによって、特定の運命特定の現象、が引き寄せられる(砂鉄が磁石に引きつけられる)ようにして形成されていくのです。

四柱推命が教えるのは、私たちが生まれつき持っている「歪み・傾き・考え方の傾向性・欲求の方向性」のままに生きることが、必ずしもその人を「幸福」にはしない、という真理です。

言い換えると、その人が「こうしたい、ああしたい、あれを手にすれば幸せになる」と思っている内容・方向性と、その人が「本当に幸せになるための方向性」は、まったく違っていることのほうが多い、ということです。

前者に導くのが「悪神・忌神」の作用であり、後者に導くのが「用神」の作用です。このズレを正しく教えることが「推命学の大切な役割」です。

喉が渇いて死にそうになっている旅人が、喉の渇きが癒されると思って「塩水」をガブガブ飲んでいるようなものです。本人の欲求は、真の問題解決の方法とはズレてしまっているのです。

「これさえ手に入れたら幸せになる」と思って追求していることが、実際には逆にその人を「不幸の落とし穴」へと誘導していく、これが運命の真相です。

四柱推命や占星術などの生年月日による占いが「当たっている」ということは、その人がこれまでの過去ずっと「生まれ持った星の傾き、悪質、歪み」に無意識に引っ張られ、その星の誘導するままに生きてしまっている、ということを意味します。

たとえば、生まれつき「赤いメガネ」を掛けて生きている人がいれば、目に映る全ての物が「赤く」見えていて、それが当然なのだと思って生きているでしょう。

あるいは、生まれつき「善いものが悪く見え」「価値あるものがつまらなく見え」「美しいものが醜く見える」ような偏光メガネを掛けている人には、世の中のものが全て逆転して感じられるようになるでしょう。
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「人魚姫」などで有名な北欧の童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの代表作の1つに「雪の女王」という作品があります。⇒ 雪の女王のあらすじ

物語の導入は、悪魔が「人間界を混乱させる鏡」を作ったことから始まります。その鏡に映るものは、本当に価値あるもの、本当に美しいもの、本当に善いものが、その正反対の、最もつまらない、醜い、悪いもの、に見えてしまうのです。

悪魔は、その鏡を天国に持ち込んで、天界を混乱させようとするわけなのですが、その企みが失敗して、悪魔の鏡はコナゴナに粉砕されてしまいます。しかし、その欠片が全世界に降り注いで、すべての人間の目と心に刺さってしまいます。
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それ以降、人間たちは「本当に価値あるもの、美しいもの、善いもの」が分からなくなり、その反対のものばかりに目を奪われ、手に入れようとするようになった。そして、他人の幸福を願う「まことの愛」によって流される清い涙だけが、その悪魔の鏡のカケラを目から洗い流すことができる。

という設定から物語が始まるのですが、まるで、推命学でいうところの「悪神・忌神」の作用を思わせる内容ですね。

命式に潜む悪神・忌神も、『雪の女王』の悪魔の鏡のように、私たちを「歪んだ偏光メガネ」を用いて、無意識のうちに巧みに誘導し人生の落とし穴、予期しない不幸へと誘います。

四柱推命による命式分析はこの「運命の傾き」「運命の癖」を明らかにするところから始まります。自分が知らず知らずに影響されている「歪んだ偏光メガネ」を取り去って、物事が正しく見える「ハズキルーペ」に掛け変えたいものですね。
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<「命式の傾き」における「基本的な類型」を知る>

命式において、運命の傾きを形成するのが、「月支」もしくは「地支に大過する五行」です。「大過」とは限度を越えて多すぎることです。

日干にとって、どの五行が大過しているかによって「財星大過」「官殺大過」「食傷大過」「印星大過」「比劫大過」といった分類ができます。

もっとも分かりやすいのは、「月支」と同じ五行が多くなって大過しているケースです。夏月に火土が大過したり、秋に金、冬に水が大過するような命式です。
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上の命式は、月令を得て、さらに会局方合して比劫の金星ばかりが大過する秋月庚日の命式です。

「比劫大過」(=極身旺)ということは、どのような「心の傾き」「運命の歪み」を持っているのでしょうか?

男命であればどのような女性運を示しやすいのでしょうか。財運についてはどうでしょうか?


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上の命式は、雑気の戌月ですが、午戌寅で火局して、天干には丙丁がなく、戊土しか出ていませんから、地支はすべて土の専属の支となり、日干の庚金が無根にも関わらず、印星だけが旺じます。(他動的身旺)

「印星大過」ということは、どのような「心の傾き」「運命の歪み」を持っているのでしょうか?

女命と男命ではどのような事象の違いが想定されるでしょうか?


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上の命式は、午戌寅で火局し、天干にも丙火が出ている「火の食傷大過」です。

「食傷大過」ということは、どのような「心の傾き」「運命の歪み」を持っているのでしょうか?

女命の場合には、どのような恋愛結婚運が想定されるのでしょうか?
男命の場合にはどのような職業運なのでしょうか?


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上の命式は、酉申丑で方合・金局し、天干にも正偏の庚辛が出ている「金の財星大過」です。

「財星大過」ということは、どのような「心の傾き」「運命の歪み」を持っているのでしょうか?

男性の場合にはどのような女性運を示すのでしょうか?

たくさんの財星があれば、それだけお金に恵まれるのでしょうか?


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上の命式は、酉申で方合し、酉辰で支合(生合)し、天干に正偏の庚辛が出ている「金の官殺大過」です。

「官殺大過」ということは、どのような「心の傾き」「運命の歪み」を持っているのでしょうか?

男性においてはどのような仕事職業運を示しやすいのでしょうか?

女命においてはどのような恋愛結婚運を示すのでしょうか?


どんなに高度で複雑に見える理論や判断であっても、分解していけば1つ1つは基本的な理論の積み重ねでできています。あらゆる土台になるのは、天干論(十干の固有性質および相互作用)地支論(力量判断)です。

上記の命式例はすべて「月支」を中心とする「1つの五行」だけが大過する命式です。(あと一歩で「特殊格」になりかねないところをさじ加減で内格に留まるよう調整している命式)
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これらが命式分類の「基軸になる類型」(四季月ごとの最も特徴的な姿)です。

実際はこれほど1つの五行だけに偏っている命式は珍しいでしょう。実際には2~4つの五行がバラけて存在していることの方が多いかと思いますが、最初はこういった「分かりやすい偏った命式」、「季節ごとの特質」が明確な命式、から理解していけばよいのではないかと思います。

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by astro_suimei | 2018-11-06 08:06 | 偏った命式の特徴 | Comments(0)