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「大運」をどう読むか

ちまたの四柱推命を見ていると「大運」を一切見ないで、命式だけを見てうんぬん言っているだけの人たちがたまにいます。

実際の鑑定で「大運」を全く見ないで判断することなどありえません。

「月支」の重要性や命式における力量については何度も書いているので皆さんお分かりかと思います。

「月支」の命式内における力量を、年支や日支や時支の「3倍」と仮定するならば、「大運支」の力量は「4倍」と見なければなりません。

つまり、原命式の月柱よりもずっと大きな力量変化を「大運の干支」が及ぼしてくるということを意味します。

だからこそ、大運を見ないような占いはまったく正確な判断にはなりません。

「用神の選定」についても、原命式だけで決まるものではありません。

大運の推移を見て、日干の旺衰がどのように変化していくのか、水火のバランスがどう変化していくのか、などの条件によっては、

「原命式が示唆している用神」とはまったく違ったものが途中から必要となってくるケースが多々あります。



比較的分かりやすい事例として、川谷絵音の命式を例に上げましょう。

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壬日で冬の亥月=水が旺じる月で、月令を得ています。

さらに水局に加担する辰があり、辰は(月令の亥水の影響力によって)ほとんど泥水に変化しています。

この命式は、身旺の度合いが非常に強い水旺の命式であり、洪水で氾濫している河川の様相です。

大運の全体を眺めると、どういう推移になっているでしょうか?

大運において決定力を持つのは「地支」です。

子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 という順で巡ってきます。

五行でグループ化すると、子丑は北方水運、寅卯は東方木運、巳午未は南方火運、となります。
(辰や戌は雑気の支であり、五行の固定した方向性を持ちません)

だから、ざっくり言えば、水 ⇒ 木 ⇒ 火 が旺じる後天運を行くということです。

ちなみに、乙丑、丙寅、丁卯のように天干と地支で五行が異なる場合は
10年の大運を5年ずつに区分して捉えます。

11~15歳までは乙、16~20歳までが丑
21~25才までは丙、26~30才までは寅
31~35才までは丁、36~40才までは卯 というふうに区切ります。

ただし、そうは言っても基本的に大運は地支の影響力が強力ですから
大運の10年間全体に(前半の5年でさえ)「寅」や「卯」の支配力は
明確ではないにしても及んでいて運勢の枠組みを決めている、と考えるべきです。

この命式において、悪神は水・金、用神は木、喜神は火ですから
少なくとも東方木運を巡っている間だけは、用神が旺じて万事うまく行くでしょう。
21~40才までの20年間は例外的に守られる運期だということです)

しかし、寅卯の木運は20年で過ぎ去っていきます。
その後どうするつもりですか?ということを問わなくてはいけません。

命式に無い用神が、後天運だけで巡ってきた場合
確かにその間だけは「吉の現象」に恵まれます。

しかし、この時期に用神の方向性で「自己改善」「傾向性の修正」を怠っていれば、
単に良い時期・楽しい運期を消費しました、というだけで虚しく過ぎ去っていきます

西洋占星術に「星を乗りこなす」「星に癖を付ける」という概念があるように
巡って来た用神を活用して、本人が内面化してその作用を人格的に取り入れることによって、
運命の傾きに修正を掛けることができるかどうか?が用神活用論の最大のポイントです。

ちなみに、40代になると急速に木星の用神が去っていき
潮が引くようにして運勢が急変していくでしょう。

この命式には、甲木や寅卯が皆無ですから
火旺運に入ると「水火の争い」(激沖現象)を起します。

喜神の火星は、用神の木星があってはじめて協働して良い作用をする星であり
用神を伴わないで、火星が単体で来ればかえって過ぎた欲心を生じて
あらぬ方向に運命を傾けていく副作用をもたらしやすいのです。

つまり、この方の人生行路としては
用神の木星が去ってしまう40才のタイムリミットまでに
どのような努力をし、自己改善をしてきたのかが鍵となって
その後の人生後半をどのように渡っていけるのか?が変わってくるのです。

by astro_suimei | 2018-10-30 20:59 | 大運論