用神と喜神は違う -良い五行とは言うけれど-

用神論について書き漏れていることを追記しておきましょう。

一般的な推命学では

・日干の旺衰 = 身旺と身弱 を判断してから
・用神の選定 = 良い五行が何で、悪い五行が何か

を行います。この順序はその通りです。

しかし、問題はその「用神の考え方」です。
以下のような考え方が、ごく一般的な用神選定の基準でしょうか。
用神・喜神とは= 命式にとって「良い働き」をする五行
悪神・忌神とは= 命式にとって「悪い働き」をする五行

日干身弱であれば 比劫、印星 が 用神・喜神になり
日干身弱であれば 食傷、財星、官殺 が 悪神・忌神になる

日干身旺であれば 食傷、財星、官殺 が 用神・喜神になり
日干身旺であれば 比劫、印星 が 悪神・忌神になる
上記のように、一般的に流布している「扶抑法を中心とする推命学」(=五行のバランス均衡論に立つ理論)では「用神」と「喜神」の違いを意識していません。

「命式のバランス」を取る上で「良い五行」という括りで、「用神・喜神」が同義のように使われています。

「身旺の命式の方が、喜神が多いですから、それだけラッキーな事や良い運が巡りやすい」などという妄言を語る人もおられます。

しかし、実際はどうか?「用神」は無条件に命式を改善する吉作用をしますが、

「喜神」は「条件付の吉作用」でしかなく「思わぬ副作用」を伴う危険性を孕んでいます。

というのも、命式を傾けている「悪神」「忌神」に由来する「傾き・歪み・癖・毒性」に対して、正しく矯正を掛けて中和し、日干と命式全体を「あるべき正常な働き」へ回復する作用をもつのが「用神」ですが、

「喜神」は、五行のバランス均衡論(扶抑法)に従って、日干が弱ければ強め、日干が強ければ弱め、という考え方に沿って「よい五行」と見られるものですが、「用神」のような「命式の悪神忌神」の傾き・毒性・癖・歪みを矯正・中和する働きは持っていません。

例えば、毒キノコを食して中毒症状が出ている患者を治療する際に、弱っている体力を一時的に回復させる強壮薬と、中毒の原因である毒性を解消する中和薬と2種類の処方薬があり、後者を一切用いずに、前者だけを使用すればどうなるか?を考えてみればよいでしょう。

一時的に体力が回復しても、原因となっている中毒は処置されておらず体内に残留しているのですから、また時間が経てば別な症状や悪化をもたらす可能性が大です。これが「対処療法」と「根治療法」の違いです。

ですから、「用神」を選定する際には大雑把に「良い五行」として包括するのではなく

何が真の「用神」で、何が条件付の「喜神」にすぎない五行であるのか?をきちんと区別する必要があるのです。

命式によっては、用神が皆無で、喜神だけが多い命式もあります。そのような命式は、手放しで喜ぶわけにはいきません。

どこかで運命の崩落現象、脱線事故(勘違いの暴走)を起こしやすい危険性・副作用を抱えている人と見ておく必要があるのです。

「喜神」とは、「用神」の制御があって初めて「協働」しつつ命式に良い働きを及ぼす五行であり、「用神」が無いところに単体で「喜神」だけがあっても無条件の吉作用とはならず、かえって様々な副作用や脱線・暴走作用を生じる難をはらむものです。

さらに、用神・喜神には「用いるべき順序」があります。

複数の五行が「用神」「喜神」になるような場合に、順序を正しく意識しないと、本当の望ましい開運には至りません。

以下、実際の事例で考えてみましょう。

<身旺の命式における「用神」と「喜神」>

以前にも取り上げた松居一代氏の命式を例に挙げると
b0389986_00521612.jpg
戊日午月であり、トランプと同じような火炎土燥の身旺です。

一般的な推命理論では、良い五行を「食傷・財・官殺」と言うのでしょう。
つまりは、金・水・木の3つが「良い五行」だと判断するわけですね。
3つもあってラッキーだね、というのが浅はかな判断です。

しかし、実際に「真の用神」として取れるのは「金の食傷」だけです。

「水の財星」は金星の用神と協働して働く場合にのみ吉作用となる条件付きの「喜神」にすぎません。

金星が無いところに、壬癸水の喜神だけが単体で来れば、水火激沖と比劫争財の副作用が発生します。そして、実際に爆発的現象をいま起こしてしまっているわけです。

身旺の歪みを矯正できる「金の食傷」(用神)を伴わずに、水の財星(喜神)だけが単体でくれば、他人を省みず自分の利得だけを得ようとする欲心となります。

さらに、木の官殺は、この命式では「用神」にはなりえずむしろ「悪神」として作用します。感情的に激昂させて、旺火をさらに炎上させ、さらに水星を吸い上げて枯渇させる働きしかしません。

つまりは、3つの「良い五行」と言っていながらも、実際に「用神」となるのはただ1つだけです。


<身弱の命式における「用神」と「喜神」>

次に、元モー娘の加護ちゃんを例に挙げましょう。
b0389986_01024535.jpg
木の食傷が大過した身弱の命式ですから、

一般的な推命理論では、比劫、印星 の2つが「良い五行」ということになります。

しかし、このように「木の食傷大過」した命式の場合は、

「水星の比劫」は限りなく「悪神に近い喜神」と見たほうがよく、先に暴走している食傷を「印星」(思慮節制)で抑制・中和・矯正しなければ、かえって日干の暴走を促すことになります。

実際にこの命式は、印星に制化されるよりも先に「日干を旺じさせる比劫」が大運で来てしまいました。

それゆえ、衝動性や無思考で言動する「食傷の悪癖」にまったくコントロールが掛からないまま、にわかに身旺に変化したことで、身弱の時以上に暴走する結果となったのです。

これが「用神」の取要には「順序」(先後)があると言われていることの理由です。

一般的推命学において「体用の視点」(扶抑法)から、全体の五行バランス/日干強弱を取る上で「良い五行」に分類されるものが幾つかある場合、または冬月や夏月の「調候」の視点から「水や火」が「良い五行」と分類される場合がありますが、

実際には「条件付き」でしか吉とはなりえない「喜神」のケースが多々ありうる、ということを意識しておいて下さい。

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by astro_suimei | 2018-06-18 01:10 | 用神論 | Comments(0)


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