開運には努力が必要 -用神論-

命式を傾けているものを「忌神」(いむがみ)とか「悪神」(あくしん)と言い、その方向に無意識に流されることによって運命上の落とし穴に陥ります。

その事象の入り口は「通変」などによって推測することができ、どのような誘惑やキッカケを持って悪神が発動するのかを予測することが大切です。

「悪神」の作用の仕方を正しく把握することが、改善策(用神論)を考える上でも重要です。

命式における最たる悪神は、たいていの場合、他の地支の3~4倍の力量で命式全体を傾ける作用をする「月支」の旺気です。

夏月(巳午未)ならば旺気の「火」や「土」が最たる悪神になりやすく
秋(申酉)ならば「金」
冬(亥子丑)ならば「水」
春(寅卯)ならば「木」
悪神になって命式全体を傾ける作用を起すのです。

ということは、春(寅卯)夏(巳午未)秋(申酉)冬(亥子丑)四季月ごとにどのような現象が生じやすいか?
「月支の悪神」が中心となってどのような崩落作用を起しやすいのか?

をよくよく理解していくことが、悪神論・用神論を学ぶ上での最短ルートであると言うことができます。

日干が10種あって、四季月(春夏秋冬)毎に事象分類できるということは、十干×四季月=40通りの組合せに大まかな分類が可能である、ということです。

日干甲木で 月支が夏(巳午未)
日干己土で 月支が春(寅卯)
日干壬水で 月支が秋(申酉)

といったように、日干×月支(春夏秋冬)によって命式の分類(起しやすい事象の類型化)が可能であるということです。

辰月と戌月は特定の方向性を持たない「雑気の代表格」であって四季月とは「別枠」と見なすしかありません。雑気の月は、命式内にどんな星が多いのか、大運にどんな星が多いのか、によって起こりうる現象が千差万別であり、分類も容易ではありませんから、臨機応変に命式ごとの特徴を捉えて判断するしかありません。「戌月」に関しては土が重くなりやすいという特徴はあります)

悪神の作用の仕方が分かれば、それに対する改善方法も類推しやすい。

悪神の理解と用神の理解は「コインの裏表」のような関係にあるのです。

偏った命式のバランスを整えて均衡に戻し、日干が本来の役割を発揮できるように整える要素(十干)を「用神」(ようじん)と言います。

悪神の無意識の働きや傾向性に気をつけて自制を促しながら、用神の方向性で努力することによって、その人の思考回路や人間性にまで変化を生じさせて、運命の落とし穴を回避させ、日干の性質が世の中に喜ばれる姿に変えていくことが改善開運の本質です。

用神は、五行のバランスを取ることだけが働きなのではなく、その本質は、置かれた条件(命式)の中で、日干が最適な働きをすることができるように整えて調整することに主眼があります。

ちまたの四柱推命の中にはバランス論の意味を取り違えて、命式に無い欠けている五行を補って「全部の五行」が揃ってグルグル回ることが開運だと思っている流派もありますが、そのような雑多なバランス論では開運にはなりません。

(たとえば、丙丁火、庚辛金、癸水の命式に戊己土は無いほうが良く、丁火の命式に壬癸水は禁忌です。乙木の命式に庚辛金は脅威となり、壬水の命式に己土が来れば最悪です)

用神を用いた開運論には、五行の象意、通変の象意など多様な視点からの応用が可能です。


(1)五行の視点

用神の五行のジャンルに関わることが、開運に大きく貢献するという考え方です。
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ただ、実際には人は命式に多い悪神の五行の方に関心があり魅力を感じるもので、そちらの扱いには慣れているものの、命式内に少ない用神の五行については関心が少なく、その扱い方がよく分からない場合が多いものです。

実際には、扱いが慣れているものに関する能力が伸びやすいわけで、この五行の分野をそのまま職業にしていくには少々無理がある場合もあったりします。

例えば、甲木が用神になる命式があり、命式内にはほとんど木星が存在していない場合は、用神を活用して「教育・福祉」などの方向で頑張りましょうね、といちおう開運アドバイスはできます。

しかし、もともと命式内に木星の要素が皆無であれば、そちらの方向性にそもそも今まで全くの無関心であり、接点自体が無かったわけですから、その分野についての「習熟」には大変な時間が掛かるということを知っておかなくてはなりません。

普通の人よりも、何倍も努力して、何倍も時間を掛けなければ、モノにならず定着しないことの方が多いのです。


(2)通変の視点

用神の通変の働きに注目して、その考え方や言動の仕方をマスターするように努力する方法です。

比劫:人生上の目標をはっきりさせ、継続して努力させる根気ややる気を持たせる。
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食傷:相手を思いやる優しさ、他人に奉仕する働き、コミュニケーション能力、技術を役に立てる
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財星:現実的な常識を大切にさせる。計画性を養う。世間のニーズを汲み取る感覚、相手に合わせる姿勢
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官星:自我・自己主張を抑えて、組織に貢献する。
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印星:学んで知識や技能を身につけさせる。人をうまく頼る。話をよく聞いて咀嚼する。
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用神活用の中心になるのは、このように本人の思考回路、行動パターン、人間性にダイレクトに矯正を掛ける方法です。


(3)他動的に五行を取り入れる開運法

甲木:森林浴、果樹園、自立性の観葉植物
丙火:日光浴、屋外の遊園地、温泉
丁火:焚き火、キャンドル、お香
戊土:登山、石工、石庭
庚金:機械いじり、鉄道・車・工場
壬水:海レジャー、水族館、川下り
癸水:水槽インテリア、スキースノボ

(乙・己・辛は 他の十干の用神にはならないので除外します)

方角的には、木=東、火=南、金=西、水=北、となっているので、海外旅行や留学で吉方位を選ぶとよいでしょう。

ラッキカラーはそれぞれ、緑(青)、赤、黄、白、黒です。

とは言え、こうした他動的に五行を取り入れる方法は、あくまでも補助的な開運法にすぎません。

運命の傾向性や癖は自分自身の内にある考え方や行動パターンそのものに原因があるわけですから、そちらを先に修正することが用神活用の本論となります。

一般に「開運」と言うと、おみくじ的、おまじない的な内容や、テレビ朝番組の「きょうの占い」で出てきるようなラッキーアイテムみたいなことばかりを「安易に考え」がちです。

しかし、そんな安易な「おまじない」ような方法で、人間が何十年も掛けて培ってきた命式の「歪み」と「傾向性」が一夜漬けで変わるはずもなく、単なる気休めでしかありません。

本当の「開運」のためには、本人自身が相当の覚悟と自覚をもって、人間性そのものが入れ替わり、思考回路や言動のしかたがすっかり変化するぐらいの努力(=自己変革)が必要である、ということです。

性格・人間性は「習慣づけ」によってある程度は変化しうるものであり、「徳性」はラテン語でハビトゥス(habitus)と言いますが、これは「習慣」を意味する語源から来ています。

一定の方向性で繰り返し同じ行動パターンや考え方で「刷り込み」を行うことで「習い性となる」と言いますが、人間性にも変化が生じて一定の「徳性」を形成することになるのでしょう。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、著書『ニコマコス倫理学』の中で、偏った性質が「中庸」に至るためには、正反対の方向への「習慣づけ」が必要である、と論じています。(蛮勇で向こう見ずな者が、慎重で思慮深くなるにはどうすれば良いか?といったことを論じています)

いわゆる「継続こそ力なり」ということですね。

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by astro_suimei | 2017-11-07 13:31 | 用神論 | Comments(0)