身旺・身中・身弱について-旺衰論

生年月日(+時刻)から命式を立てた後に、最初に判断するべきことは「日干の強弱」(旺衰)です。

強弱(旺衰)とは、日干自身にどれぐらいの力量(パワー)があるのかどうか?強いのか、弱いのかを判断することです。

ちなみに、強いから吉、弱いから凶、というほど単純ではありません。
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身旺には身旺の問題点や落とし穴があり、身弱には身弱の問題点と落とし穴がそれぞれあって、不幸に傾いていく原因幸福になるための方向性が全く異なるだけです。

「身旺」は派手な色で塗りたくられた大胆すぎる油絵、「身弱」は淡いトーンで描かれた繊細な水彩画、のような違いがあり、どちらも「美しくなりうる」のですが、およそその趣向がまったく異なるのです。

大きく分けると、身旺、身中、身弱の3つに分類できます。

四柱推命の鑑定で、命式を立てて一番最初に行うのがこの強弱診断です。


日干強弱の判断を誤ると、それ以降のすべての診断(悪神論、用神論)がことごとく誤りとなってしまうので注意を要します。

<身旺> 日干の五行が命式内に多いか、日干を生じる五行が多く、日干が強くなっている状態です。

⇒ 自信家になりやすく自己中心的な言動に走りやすくなります。自分の考えや意見を強く主張して、他人に対する配慮が乏しくなりがち。世界が自分中心に都合よく回っているかのような錯覚を持ちやすい。気力に溢れるため積極性や行動力があり、自分から事を起して、周囲の人間を巻き込んでいくパワフルさを持っています。弊害として、人と争いを起しやすく、ワンマンすぎて孤立したり、空回りばかりして評価されにくかったり、粗暴になり周囲を破壊したりします

身旺の命式は「真正の身旺」と「印星」によって他動的に強められているだけの「エセの身旺」に2分類できます。

月令を得ていたり、日干と同じ五行の支(通根)が2つ以上存在しているものが「真正なる身旺」の命式です。

印星が旺じる月に生まれ、日干が通根を得ていないものは、印大過の「エセの身旺」にすぎません。


<身弱> 日干の五行生じてくれる五行が少なく、漏出の五行が多く、日干が虚弱になっている状態です。

⇒ 気力や積極性に乏しく、物事をやり遂げる気概や実行力に乏しく、消極的・悲観的に後ろへ後ろへ下がっていく傾向です。悪い環境下に置かれても、その状況を打開しようとするだけの気概に乏しいため、周囲の人や環境に一方的に翻弄されるばかりになりやすい。本人自身も「何がやりたい、こうありたい」といった人生上の目標設定や目的意識と主体性に乏しく、努力の方向性すらも定まらない人が大半です。身旺のように他人を積極的に加害することは少ない(当たりの柔らかい人が多い)が、薬にもならず(役にも立たず)毒にもならずといったクラゲのような存在になりがち

実際には、命式内に漏出する「食傷」、剋す「財星」、剋される「官星」(官殺)のいずれが多いのかによって、思考回路、行動原理、キャラクターの出方に大きなバリエーションがあります。

<身中> 日干を強めるもの、弱めるもののバランスが均衡していて、特に強くも弱くもない状態です。

⇒ 人間的にバランスが取れていて偏りが少なく、常識的な判断力・行動力を備えている人格者が多い一方で、際立った能力や個性に乏しく意外と平凡な人も多い。命式があまりにもバランスが取れていると、必ず後天運では力量バランスが崩れてしまうので、後天運が良くない場合も少なくありません。改善開運のための用神が定まりにくく鑑定しにくいケースが多いのもこの身中だったりします。

実際には、身旺・身弱にもさらにランク分けができます。

極身旺と呼ぶべき人から、身中に近いやや身旺寄りの人までグラデーションがあります。

身弱の中にも、日干無根の極身弱の人から、日干が通根していて身中に近い身弱までグラデーションがあります。

高度な判断を要する命式として、一見すると身旺に見えるのだが実際には弱さを隠している「身旺の身弱」という事例もあります。

日干の強弱・旺衰が判定されると、
その命式のバランスを傾けている元凶(=忌神・悪神)が何なのか?
何を補ってやればバランスを均衡に戻すことができるのか?という診断に入っていけます。

それが「悪神論・用神論」です。

実際の命式を例に挙げて説明してみましょう。
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この人は、日干が丙火の太陽で、冬の子月に生まれています。この人は身旺でしょうか?身弱でしょうか?

四柱には、上下4つずつ、合計8つの文字が並んでいますが、その力量と働きは均等ではありません。1つだけ他の7つの干支より段違いに力量が大きなものが存在しています。それは月柱地支=「月支」です。

月支は、季節を示している支であり、その季節の五行が旺じていることを示す基準となる存在です。命式全体においてどの五行が最も強いか、どの五行が最も弱くなっているかの判定を与える役割を担う特別な支なのです。

なので、四柱推命の漢文古典「滴天髄」「子平真評」などでは「月支は提綱の府である」(命式全体の五行力量を推し量る「秤」である)と記されています。

というわけで、月支は他の支(年支・日支・時支)よりも4倍近い力量を持つと考えるべきで、他の3支を集めたよりも強力だと理解するべきです。

例えば、上の命式で五行の力量を数量換算してみるとしましょう。(実際の鑑定では毎回こんな数量計算をするわけではありません)
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という風に単純化するならば、

単純にカウントしただけでは、木2、火2、水2、金1、土1になります。木火4=金水土4 で対して偏りはありません。

しかし、月支の力量を重く見なければならない月支に後押しされる五行は強くなる。月支に剋を受ける五行は最弱になる。といった原則を読み込んでいったならば、

実際には、木2、火1.5、水5~6、金1、土0.5ぐらいになり、木火3.5< 金水土7.5 で明らかな「身弱」と判断できるのです。

というわけで、月支だけが他の支よりも格段に力量が大きい、ということが命式の力量バランスを大きく傾ける最たる要因となります。

言い換えれば、月支の五行こそが命式を傾ける「忌神・悪神」となるのです。(たまに例外的な命式はありますが)

上の命式においては、子月の旺気である「水」が忌神・悪神となって命式を傾ける原因となっています。

ということは、たいていは、日干 と 月支 の関係性が分かれば、何が悪神になりやすく、何が用神になりやすいか、おおよその推測ができます。

出生時刻が分からなかったとしても、年月日の3柱だけで「力量関係の大枠」が決定している部分が大きく、3柱だけでも「全体像」を類推することはさほど難しくありません。それだけ「月支」の影響力が大きいということです。

上の例では、日干が丙火であるのに対して、月支は子水ですから、水が旺じて火は剋されて弱くなることが予想できます。


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by astro_suimei | 2017-10-21 23:32 | 旺衰論 | Comments(0)