用神論について書き漏れていることを追記しておきましょう。

一般的な推命学では

・日干の旺衰 = 身旺と身弱 を判断してから
・用神の選定 = 良い五行が何で、悪い五行が何か

を行います。この順序はその通りです。

しかし、問題はその「用神の考え方」です。
以下のような考え方が、ごく一般的な用神選定の基準でしょうか。
用神・喜神とは= 命式にとって「良い働き」をする五行
悪神・忌神とは= 命式にとって「悪い働き」をする五行

日干身弱であれば 比劫、印星 が 用神・喜神になり
日干身弱であれば 食傷、財星、官殺 が 悪神・忌神になる

日干身旺であれば 食傷、財星、官殺 が 用神・喜神になり
日干身旺であれば 比劫、印星 が 悪神・忌神になる
上を見れば分かるように、一般的に流布している平均的推命学では「用神」と「喜神」の違いを意識しておりません。

「命式のバランス」を取る上で「良い五行」という括りで、「用神・喜神」が同義のように使われています。

「身旺の命式の方が、喜神が多いですから、それだけラッキーな事や良い運が巡りやすい」などという妄言を語る人もおられます。

しかし、実際はどうか?「用神」は無条件に命式を改善する吉作用をしますが、
「喜神」は「条件付の吉作用」でしかなく、さらに「思わぬ副作用」をも伴う危険性を孕んでいます。

ですから、用神を選定する際には、大雑把に「良い五行」として包括するのではなく

何が真の「用神」で、何が条件付の「喜神」にすぎない五行であるのか?をきちんと区別する必要があるのです。

命式によっては、用神が皆無であり、喜神だけが多い命式もあります。そのような命式は、手放しで喜ぶわけにはいきません。

どこかで運命の崩落現象、脱線事故(勘違いの暴走)を起こしやすい危険性・副作用を抱えている人と見ておく必要があるのです。

「喜神」とは、「用神」の制御があって初めて協働しつつ命式に良い働きを及ぼす可能性がある五行であり、「用神」が無いところに単体で「喜神」だけがあっても無条件の吉作用とはならず、かえって様々な副作用や脱線・暴走作用を生じる難が大きいものです。

さらに、用神には「用いるべき順序」があります。
複数の五行が「用神」「喜神」になるような場合に、この順序を正しく意識しないと、本当の望ましい開運には至りません。

以下、実際の事例で考えてみましょう。

<身旺の命式における「用神」と「喜神」>

以前にも取り上げた松居一代氏の命式を例に挙げると
b0389986_00521612.jpg
戊日午月であり、トランプと同じような火炎土燥の身旺です。

一般的な推命理論では、良い五行を「食傷・財・官殺」と言うのでしょう。
つまりは、金・水・木の3つが「良い五行」だと判断するわけですね。
3つもあってラッキーだね、というのが浅はかな判断です。

しかし、実際に「真の用神」として取れるのは「金の食傷」だけです。

「水の財星」は金星の用神と協働して働く場合にのみ吉作用となる条件付きの「喜神」にすぎません。
金星が無いところに、壬癸水の喜神だけが単体で来れば、水火激沖と比劫争財の副作用が発生します。
そして、実際にその爆発的現象をいま起こしてしまっているわけです。
そうでなくても、水の財星が単体でくれば、他人を省みず自分の利得だけを得ようとする欲心となります。

そして、木の官殺は、この命式では「用神」にはなりえずむしろ「悪神」として作用します。
感情的に激昂させて、旺火をさらに炎上させ、水星を吸い上げて枯渇させる働きしかしません。

つまりは、3つの「良い五行」と言っていながらも、実際に「用神」となるのはただ1つだけです。


<身弱の命式における「用神」と「喜神」>

次に、元モー娘の加護ちゃんを例に挙げましょう。
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木の食傷が大過した身弱の命式ですから、

一般的な推命理論では、比劫、印星 の2つが「良い五行」ということになります。

しかし、このように「食傷大過」した命式の場合は、

「比劫」は限りなく「悪神に近い喜神」と見たほうがよく
先に、暴走している食傷を「印星」(思慮節制)で抑制しなければ、かえって暴走を促すことになります。

実際にこの命式では、印星に制化されるよりも先に「日干を旺じさせる比劫」が大運に来てしまいました。

それゆえに、衝動性や無思考で言動する食傷の悪癖にまったくコントロールが掛からないままで
身旺に変化したことで、かえって身弱の時以上に暴走する結果となったのです。

これが「用神」の取要には「順序」(先後)がある、と言われていることの理由です。

以上のように、一般的な推命学において「体用の視点」から全体のバランス(日干強弱)を取る上で「良い五行」に分類されるものが幾つかある場合、または、冬月や夏月の「調候」の視点から「水や火」が「良い五行」と分類される場合がありますが、

実際には「条件付き」でしか吉となりえない「喜神」のケースが多々ありうる、ということを意識しておいて下さい。

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# by astro_suimei | 2018-06-18 01:10 | 用神論 | Comments(0)

タイトルの件ですが、この手の質問や混乱した内容のコメントが多くて少々辟易なので書いておきます。

・明らかに普通命式(内格)にも関わらず、私は「従財格」ですか「従殺格」ですか?といったような質問をされる方

算命学と四柱推命の区別がそもそもわかっておらず、算命学で言われている雑多な格法(正気財星格やら雑気官格やら)をそのまま書き込んでおられる方

などが多々見受けられます。言うまでもないですが、算命学は算命学の先生にお聞きください(笑)

世間で流布している「元命星占い」に由来する雑多な理論では、普通命式(内格)を「8つの格」に分類する「八格法」がメジャーとなっています。


⇒ 内格の八格法について②


上の用にちょっと検索すればいくらでも似たようなサイトが出てくるので、ここで具体的にいちいち説明しませんが

バッサリ言ってしまえば「月支元命星」を云々言って有り難がる「昭和初期の迷信的な四柱推命」の負の遺産にすぎません。

もちろん、そのように「八格」を定めて、鑑定上に大きな意味があり役に立つのならば大いに結構なのですが、実際には「全く役に立たない」どころか誤占のモトにしかなっておりません。

ですから、これまでの記事をよく読んでおられる方はすでにお分かりでしょうけれど、

特殊格(外格)の場合はきちんと格局を細かく限定していく必要性があり、それがそのまま命式の示す「性格」「傾向性」「能力」「用神の選定」に直結していきます。ゆえに外格だけは「格局」を詳しく立てて説明しているのです。

しかし、内格においては既存の「格局論」(八格法)やゴチャゴチャした有象無象のおみくじ的な格法があるようですが、結局のところ鑑定上何の益にもならず誤占のもとにしかならないため、一刀両断で捨て去っており使用しておりません。

なので、明らかな普通格局(内格)の方が「私は従財格ですか」等の書き込みをされていても、今後お返事は致しませんのでご了承ください。(というか過去の記事を丁寧に読めば、特殊格の成立条件は自ずと分かることです)

ちなみに、上掲のリンク先には以下のような記述が見られます。(他サイトもおしなべて同様ですが)
1  月支の本気が、天干に透干すれば、それが格局になります。
2  月支の蔵干中にある干が透干すれば、それが格局になります。
3  月支蔵干中にも、透干している五行がなければ、月支中の本気を有力視します。中期、余気が命式中で強く有力であれば、それらをとって格局を定めます。
4 比肩、劫財は、基本的には八格には入りませんが、どうしても取る格がなければ、比肩を建禄格、劫財を陽刃格としてとります。

一見して、もはや何のための「格局法」なのか意味不明なのです。
「格」をなんとしても定めないと鑑定ができないかのような錯覚に陥っているのではないでしょうか?

まず前提からして、これらの格法理論は「月支元命星」をありがたがる誤った理論に由来しているものです。

さらに、地支蔵干についても「余気・中気・本気」というふうに「深浅」(分野蔵干表)により蔵干をただ1つに絞らないと気が済まないタイプの四柱推命です。なぜか?そうしないと「月支元命星」が確定できないからです。

このブログを丁寧に読んでこられた読者の方はお分かりのように、これらは理論自体に誤り(無理)があるのです。

「月支」はほとんどの命式において、命式全体のバランスを傾ける「最たる悪神」として作用するのであり、およそ「用神」にはなりえません。

月支が「用神」となるような命式は、外格(強旺格・従格等)もしくは、月支以外の五行が多すぎて大過している命式ですが、たいていそのような命式=「月支しか用神に取れないような命式」はそもそも「佳良な命式」とはいいがたく、大運第3運以降に急激に崩れるケースが大半です。


戊戊

ちまたに流布している「八格法」によると、上の命式の場合は、月支蔵干で透干しているもの(壬癸)が無いので、日支蔵干から見て透干している戊土をとって「偏官格」とするか、もしくは「建禄格・陽刃格」などと命名するようです。

とにかく、何か「格」を命名しなければ気が済まない or 「格」に分類されると何かありがたい気分になる、というだけのことなら、別にそれは構わないのですが、

問題はこうした「八格法」の理論が、定めた格の通変星に従って「用神」を決める点に重大な害悪があるのです。

ここで顔を出してくるのが、凶星の偏印が吉星の食神を倒し、正官は吉星なので喜ぶ、印綬は財星を見ることを嫌う、といった「通変星占い」役に立たないアノ理論です。

これらの理論における「用神の取り方」は、格名となった「通変星」を中心として何が吉星か凶星かを定める、というものです。これは実際の鑑定においては当たり外れこそ大きく、実態とまったく合致しない誤占の原因となります。

このように、内格の「八格法」と言われている理論は、結局のところは「月支元命星」「通変星占い」の域を出ない雑多な理論にすぎません。鑑定上はまったく使いモノにならない基準なので、バッサリ捨て去ってしまって構わないのです。

では、内格の場合に、命式を分類するための「枠組み」「格局論」が全くないのか?という問う方もおられるでしょう。

それがすでに書いているところの、「日干」×「月支」(四季月)ごとの分類枠(偏った命式論)なのです。

内格の場合は、この分類自体がほとんど格局論と同じような類型となりうるのです。そして、こちらの方が、実態(性質・事象の傾向性)用神選定の上でも遥かに「正確」です。

戊戊

例えば、この命式の場合は、月令を得ていますが、月支以外に日干の味方となる五行が皆無です。

財官の火土で埋め尽くされている「身旺の身弱」の典型的命式です。月令を得ている以上は、日干の働きを放棄して「従格」(特殊格)にもなることもできません。

このような命式だけが、きわめて例外的に「月支しか用神に取れない命式」と呼ばれるものです。これは極めて稀なケースです。

この命式は、冬月生まれなれど、実質的には夏月(巳午未)に分類されてよいような命式で、月支以外の五行が方局して大過しすぎているのです。よって、本当に取りたい用神は庚・申酉で、次善の喜神が壬・通根です。

庚辛壬癸甲乙
寅卯巳午未

月支と同じ五行の大運地支(亥子丑)は、大運の巡り(月支が起点)からして、幼少期にしか巡って来ないわけですから、この命式の大運においても、大運第2運が辛うじて「丑」の北方水運で、それ以降は寅卯辰巳午と木火の強い運(東→南)に巡り、非常に不利となります。

多くの特殊格(外格)が、大運第1~3運あたりの成人するぐらいまでの運気が極端に良く、それ以降になって急激に破格する傾向が多いのも、まったく上の命式と同じような理由からです。「外格」もまた月支の五行しか用神になりえないような命式という点では同じだからです。

このように、ちまたで流布している「内格の八格法」は鑑定上なんら益にならず使いモノにならない、ということですので、雑多な理論に惑わされないようにお気をつけ下さい。

ちまたのブログには、書いてる本人自身もよく分かってないままに、(善し悪しを判断できないので)いろんな本に書いてあることを鵜呑みにして、とりあえず網羅的に書いておけば体裁が付くだろうと思って書いているような頼りにならない記事がたくさんあります。

言うまでもないですが、十二運、神殺、支の刑害破なども「まったく使いモノにならない理論」で誤占のモトにしかなりません。用いる必要性がありません。

(支の刑害破は、断易や六壬では用いますが、四柱推命では用いません。支合もあまり大きな作用ではないので、ごく特殊なケースだけしか考慮しません。また支合による合去ということもありません)

「月支元命星占い」「通変星占い」に始まった「間違いだらけの四柱推命」がいまだに駆逐されずしぶとく残っていますから、何が実践で本当に使える間違いの少ない理論なのかを、皆さんもご自身でよくよく精査されることをお奨めいたします。

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# by astro_suimei | 2018-06-17 23:46 | 地支論 | Comments(0)